金色の螺旋

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第二章 蒼き獅子

八.船上の戦い
 海賊の巣窟である島から少し離れた、公海上の沖。巳の時頃、太陽の燦々と照りつける下、三隻の海賊帆船と、三隻の軍船が戦を繰り広げていた。
双方共に単横陣を用いて正面より衝突。聖安軍側が船首の衝角をぶつけて敵船に乗り込み、白兵戦が始まった。
 矢が飛び交い、刀と刀が重なり合い、其処彼処で悲鳴や怒声が響き合う。数で勝る水軍が攻めているように見えるが、海賊達もまた軍船に飛び移り、負けじと奮戦している。
 殺伐とした戦陣の只中で、麗蘭は一兵に扮して刀を携え、敵船に乗り込んで賊をあしらいながら頭領を探す。
 一撃で戦闘不能にする為急所を狙いながらも殺さない、絶妙な力加減を考えながら刀を振るう。幼い頃から剣を修練してきた彼女だからこそ出来る、妙技である。
 船上という限られた狭い空間の中で、立ち止まれば逃げ場を無くしてしまいかねない。麗蘭は一か所に留まることなく、敵の間をすり抜けながら対峙していく。美少女が眼前に立ちはだかったかと思えば、次の瞬間には斬られて動けなくなっている。敵にしてみれば其のような感覚であったろう。
「首領は……何処だ?」
 自分よりも一回り大きい男を斬り倒し、辺りを回視して其れらしき人物を探す。
 敵船は三隻有るが、麗蘭は最初の方から此の船に居ると判断していた。
 此の最も小さな船が見えた時からたった一つだけ、大きな神人の気を感じていたからだ。
――屹度あれに違いない。否、たとえ首領でなくとも、こんな大きな神気を持つ敵を見過ごせぬ。
 彼女は一度刀を納め、櫓の上へ登って行く。背にした弓矢を構えて狙いを定めると、味方と敵を正確に判別しながら次々と射抜いて行く。此処からの方が、船全体を見渡せるのだ。揺れる船上では狙いが付けにくいが、微妙なずれすらも計算に入れて狂い無く発射する。
――蘢は指揮を副官に命じ、密かに敵の主力船に紛れると言っていた。
 副官が有能とはいえ、早く目的を遂げて蘢を指揮に戻らせねばならない。集団での戦闘に関する知識は本でさらりと読んだ程度しかない彼女にも、其のことは何となく分かっている。
 目に付く敵に矢を射掛けながらも、集中して神気の源を辿る。然程大きくない船なので直に見つかるはずだ。
 彼女にとって初めての、人間同士の戦場……にも拘わらす麗蘭は、自分でも意外なほど冷静な状態で、実力を発揮出来ている。
 やがて其のまま少し経つと、麗蘭の方目掛けて一本の矢が勢い良く飛んできた。
 顔面を狙い真っ直ぐに飛んで来る矢を横に動いて避ける。射手は誰かと放たれた方向を見下ろすと、鋭い目で此方を見詰める、一人の男が立って居た。


 一方最も大きな敵船では、蘢が剣を抜き戦っていた。剣捌きだけでなく、力の掛け方や動き方に一分の無駄も隙も見られない、天才の名に相応しい美技が彼の特徴である。麗蘭同様時間を掛けずに、易々と敵を片付けて行く。
――思っていたよりも持ち堪えるな。
 戦う前から仕込んでおいた商船の計や、地方軍よりも優れた禁軍の戦闘能力、二倍程の兵力の差。正直、彼は戦闘が始まってしまえば短時間で終わると目算していた。
 特に今回の詭道に関しては、敵の様子から察するに予想以上の効力が見られた。大軍を集める程兵の数にも時間にも余裕が無いこと、隨加の民の為にも自分たちの使命の為にも負けられないことで、実行した単純な小細工。だが只でさえ禁軍の出現に恐れを成している海賊たちにとっては、士気を削ぐのに効果絶大であったようだ。
――其れなのに、未だ落ちない。
 剣を振るいながら、考える。戦意を落としながらも纏まりに乱れは無い海賊達は彼を非常に驚かせている。予想通り、首領がかなり優れているのであろう。既に計略に勘付いた可能性も十分有る。
――首領を倒すのが、やはり早いか。
 麗蘭と同じように、程近い場所に大きな神気を感じて先程からずっと気になっている。
 自分が気付いているのだから、麗蘭も当然此の気に感付いているだろう……そんなことを思っていたら、彼の頭にある不安が過る。
――神気に鋭い神人ならば、麗蘭の異質な気を……感じ取ってしまうのではないか? 
 蘢が紫瑤で麗蘭を見つけた時もそうだった。彼女は他の神人には無い特殊な神気を纏い、普段は……そして今も、特に隠そうとしていない。
――彼女が“光龍”であると、万一知られるようなことがあれば? 
「駄目だ、在ってはならない」
 呟くと、襲い掛かって来た敵を振り向き様に刺し貫く。呻き声を上げて倒れる男を避けると走り出し、敵味方を掻き分けながら、麗蘭のものと思しき神気の方へと向かって行った。


――何だ? あれは。
 玄武は鉄弓を手に、櫓に居る少女を仰いで凝視する。背から陽を浴びて立って居る少女の橙色の髪が、きらきらと光って美しい。
――妙な気を放っているから来てみれば……あれは本当に、只の神人か? 
 かつて戦場で、何人もの強い神人と会い見えてきた彼だったが、少女の纏うもの程大きく真っ白な気は見たことが無い。
 太陽が眩しくて、此の位置からでは顔が良く見えない。だが薄らとは分かる……あれが相当の美少女であることを。
「奴だ……!」
 麗蘭の方も探し求めていた神気の持ち主を見つけ、直ぐ様櫓から飛び降りる。比較的人の少ない甲板へ降り立ち、立ち上がって玄武を直視する。
 背が高くがっしりとして背丈は六尺に近く、如何にも武人らしい体格の其の男。赤墨色の髪が風に靡くと、左側の頬に大きな傷跡が見え隠れする。鋭利な双眸はまるで、御し難い猛獣のよう。
 十年以上前の先の戦から指揮官として勇名を轟かせていると言うが、其の割には未だ年若い。彼も蘢と同様少年の頃から天賦の才を開花させ、珠帝の夫であった先帝の時代より重く用いられた逸材なのである。
 また玄武の方も、麗蘭を正面から見る。聖安禁軍の一兵卒の軍服を着てはいるが、毅然とした凄まじい美貌からは何処ぞの高貴な姫君の風格すら感じさせる。
――姫君だと? 
 其の瞬間、彼は朱雀の言葉を思い出す。
『……只の一の姫ではない。どうやら“光龍”らしいのだ』
「おまえが、海賊どもの首領か?」
 癪に障る朱雀の声を、麗蘭の凛とした声が掻き消す。明らかに只者ではない男を前に、臆する様子など微塵も無い。
「そうだ……と言ったら?」
 不敵に笑む玄武に、麗蘭は弓矢を置いて腰の刀に手を掛ける。
「倒す!」
 端然と構え言い放つ麗蘭からは、十代の少女とは思えぬ気迫が感じられる。
――確か“光龍”とかいう女は、物凄い美女である上に其の強さも桁外れ、おまけに……
 こうして麗蘭と対するまでは“光龍”の存在等信じていなかった。無論、朱雀が持ってきた珠帝の勅命も半分は聞き流していた。ところが実際に伝承に近い少女が目の前に現れたとなると、確かめずにいられない。
 玄武も弓を放り出し、腰に差した剣をすらりと抜く。麗蘭が瞬く間に刀を抜き玄武に斬り掛かると、彼は自分の剣で其れを弾き返し、思わぬ行動に出る。
「なっ……!?」
 船体が大きく揺れ、麗蘭の身体が揺らいだ一瞬の隙を突き、玄武が背後から彼女を抱きすくめたのだ。予期せぬ不意打ちに、麗蘭ともあろう剣士が、思わず刀を取り落としてしまう。
「うおおお!」
 自由を奪われた麗蘭を助ける為に、側にいた果敢な禁軍兵が剣を振り上げる。
「止めろ! そなたでは無……!」
 麗蘭が最後まで言い終わらぬうちに、兵は玄武の剣によって喉を刺し貫かれた。噴出した鮮血が、麗蘭と玄武の顔にぴしゃりと降りかかる。玄武は刺さった剣を引き抜くと、麗蘭を抱えたまま倒れこんで来る兵を避けた。
「おっと、美しい顔を汚してしまったな」
 せせら笑い、麗蘭の白い頬を染めた血を軽く手で拭う。彼女は懸命に抵抗して男の腕から逃れようとするも、腕力の差が有り過ぎる。
「彼女に加勢しろ!」
 そんな様子を認めた周囲の味方兵たちが、捕らわれた美少女を助けようと次々と向かって来る。
「目障りだ」
 十数人の敵を前にして尚、余裕の笑みを見せる玄武は、麗蘭を拘束したまま呪を唱える。すると術者を取り囲むように、何処からともなく小さな風の渦が出現し、襲い来る兵たちを順々に吹き飛ばして行く。
 命を奪う程の強さではないが、骨の一、二本を砕き折る位の衝撃は有る。甲板に倒れた者たちは痛みに声を上げ、成す術もなく動きを封じられた。
 邪魔者を排除し終えると、剣を手にしたまま彼女の左肩へと手を伸ばす。其処で漸く、麗蘭は男の意図に気付く。
「は……なせっ……!」
――まさか、此の男……! 
 彼女の顔が蒼ざめていく。そして麗蘭が恐れた通り、玄武はにやりとして彼女の服の左肩部分を無理矢理引き裂いた。
「……へえ、此れは驚きだ」
 曝されたのは、麗蘭の細腕に天によって描かれた、鮮やかな白龍。
「光龍だな?」
「貴様……!」
 麗蘭は神力で男を振り払おうと、呪を唱え始める。すると其れよりも早く、突然男は麗蘭を離した。何者かの剣撃を受け止めて。
 麗蘭を助ける為、男と剣を合わせたのは……蘢。
 何度か斬り結んでから、お互い間合いの外に離れて距離を取る。蘢は麗蘭を横目で見ると、自分の外套を外して彼女に手渡した。
「……此れを裂いて、御印を隠すんだ」
 彼の表情には、何時も見せているような余裕は無い。一切の甘えの無い、厳しい剣士の顔。
「……何故か階級章を付けてないが、蒼稀上校か?」
 言い当てられ、蘢は眉根を寄せる。自分の名前を極力知られぬよう動いたというのに……対峙した兵から聞き出したのだろうか。
 だが蘢の方も、既に頭領の正体を知っている。
「そう言う貴公は、茗の高名な“玄武”でしょう?」
 口元に僅かな微笑を浮かべながらも、蘢の瞳は笑んでいない。
「玄武だと……!?」
 蘢の指示通り、布を刀で裂いて肩に巻き付けながら、麗蘭は驚嘆の声を上げる。
――玄武と言うと、珠帝の有名な腹心の一。茗の上将軍ではないか。
「ほう、俺は近年戦場に出ていないというのに、未だ俺のことを知っている若い将校がいるとは」
「其の、頬の傷。瑛睡殿が負わせたものですね? まさか貴公ともあろう方が海賊の真似事など……俄かには信じられないのですが」
 玄武を挑発するように、屈辱の古傷を顎で指す。
「ふん……師には似ず身の程知らずな奴だ。瑛睡はもっと慎重な奴だろう? あの商船のように、詰まらん小細工を弄する所は何となく似ているがな」
 嘲笑い、再び構える玄武。
「おまえには死んでもらう。其の娘を連れ帰れば、きっと珠帝もお喜びになる」
 玄武から並々ならぬ剣気と殺気が立ち上る。確かに名を知られてしまったからには、蘢や麗蘭を帰すわけにはいかぬだろう。
「其れは、此方の台詞だ。神巫女に無体な真似をした罪、万死に値する」
 余りに静かだが、溢れんばかりの闘気。普段穏やかな蘢が険しい顔でする物騒な物言いから、彼が本気で怒っていることが見て取れる。
――蘢の言う通り、私の正体がばれた以上、此方も奴を逃がすわけにはいかぬ。
 麗蘭も彼に加勢しようとした時、横から海賊が邪魔をする。弱弱しい太刀を難なく避け、柄による一撃を鳩尾に叩き込む。
「この女、強いぞ! お前ら来い!」
「ちっ……」
 集まって来た海賊達に、麗蘭は唇を噛む。振り返ると、既に蘢と玄武の戦いが再開されていた。
――何処かで見たことのある太刀筋……胸糞の悪い。
 激しい剣戟を展開しつつ、玄武は左頬に傷を受けた時のことを思い返している。
 未だ若く、今よりも血気盛んだった十数年前のあの頃、瑛睡と見え勝負を挑んだ。自分の力に傲慢になっていた彼は顔に消えぬ傷を負い、挙句止めを刺されず逃がされるという汚辱を受けた。
――こいつの剣は、奴に似ている……
 敵が打ち込む斬撃を最小限の動きで回避し、攻撃も大胆なものが無く隙が殆ど生まれない。気力も体力も抑えつつ、細かい剣技で相手を苛立たせて自滅を狙う。
――そんな技を、此の若さで身に付けているとは。
 玄武も認める。確かに蘢は天才と呼ばれるだけある逸材だ。
 再び間合いを取り、離れる。お互い涼しい顔をしているが、呼吸は少しずつ乱れてきている。どちらかと言えば、やはり経験豊富でより体格にも恵まれた玄武の方が優勢に見える。
「……驚いた、もう何年も戦場に出ていないというのに、未だこんな剣を振るえるとはね」
 時折、ほんの一瞬だけ、力技で気圧されているように見える蘢だが、不安や焦りを一切顔に出さない。柔らかで端正な顔にそぐわぬ好戦的な眼差しで玄武を煽り立てる。 
「おまえこそ口が減らない餓鬼だが、認めてやるよ。殺すには惜しい人材だ……おまえが死ねば、瑛睡も恵帝もさぞやお嘆きになるだろう」
 久し振りに剣を交えた強敵との打ち合いは、玄武を期待以上に楽しませてくれる。だがそろそろ慢心を捨て、殺しに掛からねばならぬ頃合いだと思い始めていた。
「俺の久々の手柄はおまえの首と、聖安の光龍だ。復活祝いには調度良い」
 其の発言を聞いた途端、蘢はくくっと笑い出す。
「復活? 貴方は未だ自分が珠帝に重く扱われていると思っているのか? 大方こんな港町に捨て置かれて……珠帝に袖にされたんだろう? 認めなよ」
『もう一年もの間、こんな異国の地に追いやられて……開戦が近いというのに呼び戻されもしない。一年? いえ、もっとですわね……此処何年も、貴方が戦に呼ばれることは滅多に無い。そうでなくって?』
 決定的な、一打撃。此処まで蘢の仕掛ける煽りを躱しながらきた玄武だったが、瑠璃の言葉と重なる其の言に、遂に我慢ならなくなる。
「死ね!」
 蘢の首筋を狙い、放たれた一閃。一歩後退して剣で防ぎ、微笑む蘢。
――しまった! 
思わず大きく振り被った為に、防御された後当然の如く隙が出来る。
 体勢を立て直そうとした時には、既に遅い。
「ぐうっ……!」
 痛みにくぐもった声を漏らし、膝を折る。蘢の薙いだ剣閃が、玄武の左手首を斬り落としたのだ。
 剣を落とした彼は、傷口からぼとぼとと落ちる血を右手で抑えて呻く。
――俺が……この俺が、若造の安い挑発に乗って負けるだと……!? 
 悔しがる間も与えず、蘢は玄武の首へと血に濡れた剣を当てる。
「次は外さない……終わりだ」
 勝負は決した。相手が玄武とあれば、選択肢は一つ……討ち取るしかない。捕縛しても自軍や珠帝に不利になることは決して明かさぬであろうし、何より四神が討たれることで茗側に与える損害は多大なものだ。
 だが蘢の凍りついた目に宿る殺意は、既にそうした理屈を超えていた。目の前の男が麗蘭にした非礼な行動が、只赦せなかったのである。そして其のこと以上に、男が麗蘭に触れることを許してしまった自分自身に激しい憤りを感じていた。
 他方、頭領が討ち取られようとしているのに、周囲の海賊たちは見て見ぬ振り。玄武が蘢との戦いに気を取られているうちに大半が戦闘不能となり、決着がついたのだ。
『ほうら、ごらん? 私の言った通りだったでしょう? 』
 最期の時に、脳裏に甦るのはやはり瑠璃の声。
――陛下ではなく……あの女か。耽溺するとはこういう事なのだな。
 自虐的に苦笑して、蘢から目を逸らす。思えば此の戦闘中も、蘢の首を持って帰り見せつけたいと思ったのは珠帝ではなく、瑠璃だった。
――俺も人のことは言えなかったなァ、なあ? 紫暗……
 蘢は剣を振り上げる。敵将玄武の首を落とす為に。  
 諦め項垂れた玄武には、往年の恐ろしい猛将の面影はない。しかし其の潔さは武人らしいもの。
 一歩離れ、蘢は両手で剣を持ち斬撃を落とす。玄武の首が落ちると思われた次の刹那、意外にも、其れは為されなかった。
 何故か、蘢は寸前で手を止めたのだ。彼の視線の先には、海賊達を捻じ伏せ此方をじっと見ている、麗蘭が居た。
「……甘いな、やはりおまえは未だ青い。人を殺めるところを、あの娘に見せたくないんだろう?」
 下方から玄武の声が聞こえたかと思うと、蘢は体当たりされてぐらつき体勢を崩す。踏み止まって前を見ると、玄武の姿がなくなっている。
「……追え! あの男が首領だ!」
 船体の前方へと走って行く玄武を見つけると、指差して声を張り上げ、船上に居る部下達に命じる。
 麗蘭も走り出し後を追う。しかし直ぐに、船に起きている異変に気付く。
「火が点いた! 火が点いたぞお!」
 何処からともなく沸き起こる恐怖の叫び声。麗蘭と蘢が背後を見ると、船の後方から黒い煙が上がっている。
「いけない、麗蘭、軍船に戻るんだ!」
 見たところ、既に消火が出来ぬ程大きな火だ。木造の帆船は着火すれば短時間で燃え広がる。味方の船に火が移る前に、一刻も早く離れねばならない。
「全員撤退しろ! 未だ燃えていない、占拠した海賊船に捕らえた者を乗せ、隨加に向け帰還せよ!」
 見失った玄武を諦め、蘢は部隊に次々と的確な指示を出していく。麗蘭も彼に従い、負傷した者に手を貸しながら軍船に移る。少しでも他の船に火が点くと、素早く鎮火し被害を抑えた。
……迅速に動いたお陰で、焼失し沈んだのは最初に火が付いた敵船のみ。此方の死傷者は総数の約六分の一であるのに対し、敵方は約三分の二、殆どが捕縛され連行された。
 肝心の玄武はと言えば、死体や怪我人、捕虜の中には姿が無く行方知れず。海賊船と共に海に沈んだか、混乱に生じて逃亡したか……分からず終いとなった。
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